新型肺炎の影響について

(本稿は、東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース『売れる!人気プロ研修講師コンサルタント養成講座』ブログへの投稿の再掲です)

診断士がおさえておくべき景気動向(7) ~新型肺炎の影響について~

みなさんこんにちは。売れプロ8期生の酒井浩 59歳、独立準備中の企業内診断士です。
「診断士がおさえておくべき景気動向」の第7回、今回は、「インド」その他の新興国について書く予定でしたが、世の中それどころではない状況になってきていますので、予定を変更して、新型肺炎の影響について見ていきたいと思います。
前回、このブログでは


「新型肺炎ウイルスがばらまかれないことを祈るばかり」
「今回の新型肺炎のような不測の事態が続けば、消費マインドが冷え込んで一気に逆回りを始める、という悲観論も否定できない」


と書きましたが、この前回の記事を書いたのが1月25日で、この時点での中国の感染者は1,287名、死者は41名でした(公式発表)。今回、これを書いている2月15日時点では、感染者66,492名、死者1,523名ですので、20日間で感染者は50倍、死者は40倍に増えています
これらのデータは、あくまで中国政府の公式発表データですが、ご存じの通り、中国政府の発表する統計が実態を表していた試しはありません。

別の情報ソースとしては、EPOCH TIMES(「大紀元」)https://www.epochtimes.jp/p/index.html
という、中国では弾圧され続けている宗教団体「法輪功」が発行している新聞があり、これを見ると、
「武漢の火葬場に送られてくる遺体の6割が自宅から」(=6割は新型肺炎での死亡と認定されていない)
「広州市と深圳市も実質上、軍の管理下に置かれる」
といった恐ろしい記事が目に入ります。

(注)EPOCH TIMESは、「新型コロナウイルスは、中国軍部が開発した生物兵器が漏れたもの」といった「飛ばし記事」的なものもありますが、一定の信憑性はあり、中国国内の新聞がみな「赤旗」だとすると、EPOCH TIMESは「聖教新聞」+「東スポ」的な位置付け、と言われているようです。


中国の感染者数は、2,000万人から、1億人以上、とする試算まであり、正確なところは誰にもわからないのですが、いずれにしても、〇〇万人、というレベルではなく、相当深刻な状況、と考えざるを得ないと思います。


中国企業は、今週から限定的に活動を再開したところもあると伝えられていますが、私の知る業界情報では、中国のある鉄鋼メーカー(武漢ではない)が生産を再開したものの、出社した社員3名の感染が発覚したため、濃厚接触者130名が隔離され会社も閉鎖、再度生産停止中、といった事例もあります。


この事例のように、中国は、経済活動を優先すれば感染が広がってしまう、感染防止を優先すれば更なる経済活動の停滞は避けられない、というジレンマに陥っていると考えられます。


一方、日本の状況ですが、中国の数字をさらに遡って見てみると、1ヶ月前の1月15日の時点では、なんと感染者41名、死者1名で、日本の昨日(2月14日)の感染者数、死者数と同じです(クルーズ船除く)。単純に考えると、1ヶ月後の日本が、今の武漢のようになってしまう、という見方も、全くあり得ない話ではありません。


もう少し別の試算を見てみると、1月23日に封鎖される前に武漢から来日した中国人は、1万8千人という数字があるそうです。これに、武漢から帰国した日本人の感染率1.4%を掛けると、約250人の感染者が日本にやってきたことになります。


1人の感染者は、2~3人に感染させる、とされていますので、2次感染の時点で500~750人の日本人が感染している、ということになり、3次感染まで入れると、現時点で1,500~3,000人が感染している、という計算になります。こうした人たちが今、屋形船で宴会をしたタクシー運転手のように発症を始めている、とすると、ここ数日のうちに、爆発的に発症例が増えてもおかしくありません。
長くなってしまいましたので、経済への影響については次回見ていきたいと思いますが、現時点で言えることは、事態はマスコミ等で伝えられているより、遥かに深刻なのではないか、ということです。


中国経済が相当なダメージを受けることは間違いありませんし、それによって世界経済、当然、日本経済も減速は避けられないと思います。それ以上に恐ろしいのは、日本にいても決して安全な状況ではなくなってきた、ということで、経済どころではなく、先ず、自分と家族の身を守らなければならない局面になる可能性があります。


そういった意味では、この問題は、

リーマンショックと東日本大震災が同時に来た

ぐらいのインパクトを我々に与える可能性があるのではないかと思います。いたずらに不安を煽るつもりはありませんが、ここしばらくの間、相当な覚悟を持って臨む必要があるのではないかと感じています。

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